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September 05, 2006

hueyでキャリブレーション

うっ、色がちがう……。そんな経験は一度や二度ではない。さんざん時間をかけて加工したRAWデータが、いざプリントアウトしてみると見るも無惨な色味。ディスプレイと印刷でどうしてこうも色味が異なるのか。さすがに辛抱たまらずキャリブレーションに手を出すことにした。といっても、本格的なカラーマネージメントは難しそう。そんなわけでgretagmacbeth社のお手軽キャリブレーションツール「huey」を導入してみた。

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hueyは数あるキャリブレーションツールのなかでも特に安価な製品だ。実売1万4千円程度で、恒陽社が国内代理店になっている。市川ソフトラボラトリーがSILKYPIXとバンドル販売しているので、知る人ぞ知るといったアイテムだ。プロフェッショナルユースのカラーマネージメントは、難しい上にキャリブレーション対応モニタや高価なキャリブレーションツールが必須。さらにプリンタとのキャリブレーションも必要となり、一般ユーザーが気軽に踏み込める世界ではない。折しもナナオがColorEdge CEと顔料系プリンタを使ったカラーマッチングシステムを発表したばかりだが、これを個人で導入するのは金銭的にほぼ不可能。また、そこまで厳密なカラーマネージメントを求めているわけではない。おおまかでいいからとりあえず、モニターとプリンタの色味を合わせたい。その程度のことだ。そんな軟弱キャリブレーション願望をかなえてくれるのがhueyである。

【ウィザードで簡単セットアップ】
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まずパッケージ内容から見ていこう。本体は百円ライターより若干背が高い程度で、ポケットに収まるコンパクトサイズだ。パソコンとの接続はUSB2.0を採用。延長USBケーブルとスタンドが付属している。本製品は調光機能を搭載しており、キャリブレーション後はディスプレイのわきに立て、室内の明るさに応じてディスプレイの輝度を自動調整してくれる。スタンドと延長ケーブルはその際に使うものだ。その他にはユーティリティのインストールCD、申し訳程度のマニュアル(一応日本語表記もあり)、そしてディスプレイのクリーニングキットが付属する。キャリブレーションを実行する前にこのクリーニングキットでディスプレイ表面をきれいに拭き取っておこう。特にタバコを吸っている人はヤニコーティングをしっかりおとしておくこと。

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付属CD-ROMからユーティリティをインストールする。言語選択で日本語が選択可能。ユーティリティ自体もちゃんと日本語にローカライズされている。インストール自体は一般的なソフトウェアと同様。ウィザードに従っていくだけでよい。インストールが完了したらウィンドウズを再起動する。

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パソコンのUSB端子に本体のケーブルを接続し、デスクトップアイコンからhueyのユーティリティを起動する。「スタート」をクリックしてキャリブレーションを開始しよう。まずはじめにディスプレイタイプを選び、次にルームライト測定のために本体をスタンドに立てる。ユーザーは単に「次へ」をクリックしていくだけで、別段何かを判断したり設定する必要はない。

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本体の取り付け位置が画面にあらわれるので、LEDのある方を上向きにしてディスプレイ上に貼り付ける。本体裏側に8つの吸盤があり、そっと押すだけでディスプレイに貼り付いてくれる。「次へ」をクリックすると全画面表示に切り替わり、実際にキャリブレーションがはじまる。この間ユーザーは何もしなくてよい。

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「キャリブレーション成功」とメッセージが表示されたら、本体をディスプレイから外してスタンドに立てておく。前述の通り、本体は調光機能を備えているので、スタンドに立てた状態でディスプレイにわきに設置しよう。これでディスプレイ周辺の明るさを測定し、環境に合わせてディスプレイの輝度を自動調整してくれる。次にカラーパレットがあらわれ、キャリブレーション実行前後の画面が比較できる。「修正後の表示」「修正前の表示」をクリックして、色合いのちがいを確認しよう。カラー設定の画面があらわれたら、用途に応じて適したカラー設定を選択する。写真加工の場合は「ウェブ閲覧および写真加工」を選択。この他、ゲーム向けやビデオ編集向けなど、合計9つのカラー設定が選べる。次画面では調光機能のON/OFFが設定可能。カラー設定と調光機能は、タスクトレイのアイコンからいつでも設定変更可能だ。

一画面ずつ細かく解説してきたが、実際にはウィザードまかせですんなりと設定できる。ユーティリティを起動して、本体をディスプレイに貼り付け、あとはおまかせ。そんな感じだ。専門知識不要はいうまでもなく、これならパソコンビギナーでもキャリブレーションできるだろう。hueyはキャリブレーションの敷居をグンと下げてくれるアイテムだ。

【真実の色がいま目の前に!】
キャリブレーション後の画面を見ると、彩度が一段落ち、コントラストや輝度も物足りない。はっきり言ってしまえば眠い画面だ。とりあえずSILKYPIXを起動して、これまで編集加工した写真をつぎつぎに表示してみる。すると画面に見覚えのある色があらわれた。そう、色褪せたようなプリント時の発色、あれが画面にドーンとあらわれたのだ。この時点でディスプレイとプリント結果の整合性(カラーマネージメント)がとれた。同時に認めたくない事実が降ってくる。これまでうまく補正できたと思っていた写真は、尽く彩度とコントラストが不足していたことになる。RAW現像全面やり直し。脱力……です。

原因はわかっている。正確には薄々と気づいていた。今回hueyを導入した理由は、前述のとおりディスプレイとプリントであまりに色味が異なるからだ。プリンタ側の自動補正機能をオフにして印刷すると、まるで褪色したような地味な仕上がりに……。かといって自動補正機能をオンにすると今度は彩度過剰で嫌味な印象になる。ディスプレイはEIZO「M170」を使っているのだが、こいつが使い勝手がいいわりにちょいとクセモノなのだ。ピクチャー、テキスト、ムービー、sRGBといった表示ソースに最適化されたプリセットを搭載し、普段写真加工を行う際はピクチャーモードで使っていた。かすかに青みのある色温度といいコントラストといい、写真を実にきれいに表示してくれる。その名の通り、写真表示に最適な表示モードだ。ただ、こいつが色味や明るさを持ち上げているおかげで、プリンタの色味と整合性がとれない。じゃあsRGBモードにすればOKかというとそうでもない。なにしろパソコンを使っている部屋は、ディスプレイの背面から自然光が射し、横から電気スタンドの電球が、頭上では青白い蛍光灯がともる完膚無きまでのミックス光状態。カラーマネージメントには最低最悪な環境で、まったくもってお手上げの状態なのだ。

hueyでキャリブレーションした後のディスプレイと印刷した写真を見比べると、おおむね似たような印象になっている。プロにいわせれば厳密なカラーマッチングとはほど遠いかもしれないが、個人的には色味の指標ができたというだけで大満足だ。キャリブレーション後の表示で写真加工すれば、プリンタの色味とニアイコールになる。この安心感は何ものにも代え難い。アバウトで結構。これで安心してRAW現像に打ちこめる!

【液晶の便利機能と共存できるのか?】
hueyでキャリブレーションしたおかげで、ディスプレイとプリンタの色味がほぼイコールになった。しかし――大半の人がそうだと思うが――カラーマネージメントできればそれでOKといえないところがホームユーザーのつらいところだ。パソコン上の作業は写真加工ばかりではない。ブログの文章も書かないといけないし、DVDビデオだってみたい。ときに3Dゲームをバリバリ楽しみたいこともあるだろう。先に述べたとおり、キャリブレーションされた画面は眠い。こんな画面で文章を書いたりDVDビデオを観るなんて興醒めだ。そこでホームユーザー最大の関心事、カラーマネージメント環境と一般作業環境の共存について検証していこう。

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求めている環境はこうだ。RAW現像時はキャリブレーションされた画面、通常操作(文書作成やウェブ閲覧)は液晶ディスプレイ「M170」のプリセット機能を使いたい。要はキャリブレーションされた環境を適宜呼び出せるかが問題となる。結論からいうと、これは簡単に切り替えられる。タスクトレイにユーティリティが常駐しているので、このアイコン上で右クリック。右クリックメニューの「hueyプリフェレンス」をクリックする。設定画面があらわれるので、「設定」タブで「修正後」「修正前」を切り替えればよい。さすがにワンクリック切り替えとまではいかないが、この程度の手間なら問題あるまい。なお、この設定画面ではカラー設定のプリセット変更や、ルームライトモニタリング(測定周期)も設定可能。ルームライトモニタリングは初期設定で1分になっているが、屋内の明るさが安定しているならもっと長くとっても大丈夫だ。

【キャリブレーションで得られるもの】
_mg_4215_1カラーマネージメントの問題は、基準が存在しないことだ。ディスプレイの色、プリンタの色、デジタルカメラの色。それぞれに偏りがあり、どこに基準をおけばいいのか判断できない。今回hueyを導入したことで、キャリブレーション後のディスプレイと、自動補正機能をオフにしたプリントアウトがほぼイコールであることがわかり、写真加工はキャリブレーション後の画面(色味)を基準として作業できるようになった。写真加工→プリントアウトの色味が統一されることで、プリントを念頭においた補正をしなくて済む。これは大きな成果だ。

しかし、ウェブにアップする写真はどうだろう。キャリブレーション後の画面は正直いって眠い。この画面で補正を行うと、どうしても高コントラスト、高彩度な調整になりがちだ。こうした写真をウェブに掲載した場合、閲覧者のディスプレイ環境がいまどきの液晶ディスプレイだと、かなり色濃く写るはず……。ビビッドな補正にさらにディスプレイのギラッとした補正が加わるのだ。想像しただけでゾッとする。ウェブ投稿向けの写真はやりすぎないこと、そんな気配りが必要かもしれない。最後にキャリブレーション後の環境で加工した写真を掲載しておく。みなさんのディスプレイではどう見えますか?

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左:未補正画像 右:SILKYPIX 3.0 Betaで補正

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Comments

なんか、同感です。
ホントに簡易的なモノですが、無いよりましかと思いましたのです。

Posted by: PhotoPierre | March 29, 2007 at 06:01 PM

プロではないので厳密なキャリブレーションは必要ありませんが、
やはり目安になるものはほしいですよね。
hueyはそんなニーズにぴったりのお手軽アイテムだと思います。

知り合いのプロに話したら、
「とりあえずデスクスタンドの白熱灯をやめよ」
とお叱りを受けましたが(笑)。

Posted by: metalmickey | March 29, 2007 at 09:48 PM

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