FLEKTOGON 画質の研究
先日のエントリーでCarl Zeiss Jena DDR MC FLEKTOGON 35mm/f2.4を購入したとお伝えしたが、今回はその第2弾、MC FLEKTOGON 35mm/f2.4の画質について考察してみたい。というのも、画質に定評のある同レンズだが、撮った写真を見ると「こんなもんかあ!?」という仕上がりだったからだ。
いくら銘レンズといえども、中古である以上個体差はあってしかるべきだ。ハズレを引いてしまったのか。それともこれがクラシックレンズの味なのか。これまでいまどきのレンズばかり使っていたので、そのあたりの判断がつかない。そこでMC FLEKTOGON 35mm/f2.4のサンプル写真を掲載しながら、画質についていま一度考えてみようというのが本記事の主旨だ。なお、撮影はすべてEOS 20Dで行い、RAW現像は「Digital Photo Professional2.1」を使用。メーカーの推奨設定に準じて、ピクチャースタイルは[スタンダード]を選び、コントラストと色の濃さをそれぞれプラス1している。撮影時に露出補正した画像はあえてDPP2.1上で逆補正し、デフォルトの状態にもどしている。掲載している画像はかぎりなく素の状態と考えてほしい。
【これをもって高画質とはいえない】
まずはビミョ~な感触をおぼえた3枚から紹介しよう。一番左側の写真は曇天下での撮影。光量不足は否めないが、それを差し引いても眠い。中央は晴天下での撮影で、やはりもう一段メリハリがあっても良さそうだ。そして一番右の画像を見て脱力した。すごくくすんでる。抜けがわるい。単なる露出オーバーか。それともコントラスト不足か。なんだか普通のレンズでフツーに撮っただけ、といった印象だ。加えて無限遠での撮影のためか、解像感も物足りない。もう少しシャープでもいいような気がするのだが。

のっけから否定的なコメントがつづいたが、もちろんいい点もある。左の写真は最短距離(約20センチ)で開放撮影したもの。シベにピンがきてないのはご愛敬だが、これぞ繊細といった絵づくりだ。加えてボケ味もすごい。どうやらMC FLEKTOGON 35mm/f2.4は無限遠よりも中近距離に強いレンズといえそうだ。無限遠撮影でも中央の写真のようにいい雰囲気を醸すものもある。両者に共通しているのはナチュラルな発色だ。ただし、夕陽の部分はほぼ白飛び状態で、これはいただけない。なお、F5.6程度に絞りこんで撮影したのが右の写真。ボケ量が少ないのに立体感がある。しかも二線ボケがない。う~ん、さすがは単焦点(笑)。
【ガンマ値の小さいレンズって何さ!?】
問題を整理してみよう。一般にコントラストが高ければ立体感が増す。しかし、手持ちのMC FLEKTOGON 35mm/f2.4はコントラストが低いのに立体感がある。ボケ味が優秀なのでそれに救われているということなのだろうか。加えて気になるのは白飛びしていた夕陽だ。ハイコントラストな画像ならいざしらず、ローコントラストなのに白飛び……。これは一体どういうことか。そこで画質の特徴をトーンカーブで描いてみることにした(笑)。明部をグイッと持ち上げつつ、暗部を底上げ。おそらくこんな感じで前出の写真のようになるはず。ということは、コントラストが低いのではない。黒が浮き足立っているのだ。表現を変えてみると、マックっぽい画像といったところか。マックはウィンドウズよりもガンマ値が小さいので、マックで編集した画像をウィンドウズ環境で閲覧すると白っぽく見える。前出のサンプル写真はちょうどそんな印象だ。
しかし、レンズを評価するときに「ガンマ値が小さい」などと表現する人はいない。問題の正体を突き詰めてみると、光が余計に入っているのではないか。フードでちゃんとハレ切りすればもっといい絵に仕上がるはず。そんな憶測のもと、ハクバのラバーフードを付けてみた。クラシックレンズにラバーフード。でもボディはデジタル……。かなり悪趣味な構成だが、贅沢はいっていられない。
【ラバーフードで画質改善!】
ラバーフードを付けて近距離からのスナップ三連発だ。あきらかに暗部が落ち着きを取り戻し、発色も深みを増している。それにしてもこの立体感はすごいのひと言。ピントの合った部分がキリッと立ち上がり、あとは溶けるようにボケていく。素直に「いいレンズだ」といえる。

左写真で石の切断面を見てほしい。ディティール描写も実に良好だ。中央の写真は無限遠での撮影となる。フードなしよりもずいぶんと地に足がついた印象。ただ、シャープネスはやはり物足りず、無限遠はあまり得意ではなさそうだ。右写真はハンドルとシャーシのボケに注目してほしい。ハイライト部分はほぼ白飛びしている。どうやらこのレンズ、そもそもがかなりハイコントラストにふってあるようだ。
MC FLEKTOGON 35mm/f2.4といえばやはりマクロ。フード付きの最短距離撮影、三連発だ。中距離だとハイライトが飛び気味だったが、マクロ撮影時はどこかやわらかさがある。固くなりすぎないところがおもしろい。中央および右写真のように中途半端なボカし方でも、さほどうるさくならないところが助かる。
いまどきのレンズを使っていると、フードを付けなくてもそこそこ写ってくれる。そんなノリでMC FLEKTOGON 35mm/f2.4を装着していると真のポテンシャルは堪能できない。また、焦点距離によって解像感や立体感に差が出てくるのもおもしろい。このレンズにホレこむ人が多いそうだが、それもうなずける。うまく撮れるとうれしくなる――MC FLEKTOGON 35mm/f2.4はそんなレンズだ。
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Tracked on September 18, 2006 at 12:50 PM




Comments
とても勉強になりました。
自転車の写真、いいですね。
Posted by: aran | September 18, 2006 at 01:53 AM
> aranさん
フードを付ければ……なんて月並みなオチで恐縮です(笑)。
チャリの写真を画面で見たときは鳥肌モノでした。
掲載しているものはリサイズされてしまってナンですが、
ピクセル等倍だとゾクッとします。
MC FLEKTOGON 35mm/f2.4の奥深さを
垣間見た気がしました、なんてチト大げさですが。
Posted by: metalmickey | September 18, 2006 at 03:13 AM
大変勉強になりました。ありがとうございました
Posted by: 次郎 | September 18, 2006 at 12:54 PM
> 次郎さん
レンズ描写を語る言葉を持ち合わせていないので、
やれコントラストだガンマだとレタッチ的なアプローチで
書いてしまいましたが、雰囲気だけでも伝われば幸いです。
またのぞいてやってください。
Posted by: metalmickey | September 18, 2006 at 02:18 PM
FLEKTOGONの描写、素晴らしいですね。
フードですが、ラバーフードのフィルター径は何mmのを購入すればよろしいのでしょうか?近々私もFLEKTOGON使いになる予定なので、色々教えてください。
Posted by: ubu | September 26, 2006 at 10:13 AM
> ubuさん
径は49ミリになります。
最近、Super-Takumar 50mm/f1.4で遊んでいるのですが、これと比べると、MC FLEKTOGON 35mm/f2.4はとてもピントの山がつかみやすく、やはり優秀なレンズなのだと改めて実感しました。
Posted by: metalmickey | September 26, 2006 at 12:01 PM
metalmickyさん、お返事ありがとうございました。
フレクトゴン!私もやっと入手しました。ボディが未だなんで試せませんが楽しみです。フードですがお勧めのハクバのラバーフードを購入します。安いので文句は無いのですが、もう少しカッチョよいのがあればいいんですが。。
Posted by: ubu | September 27, 2006 at 02:45 PM
> ubuさん
購入おめでとうございます。フレクトゴンは楽しいレンズですよ。寄っても引いても撮れるので、最近スナップはフレクトゴンばかりです(笑)。
ラバーフードは……ナンですよね。ハクバのメタルフードも検討してみたのですが、レンズキャップが付けられないので泣く泣くラバーフードで我慢してます。もしカッチョいいフードが見つかったら教えてください。
Posted by: metalmickey | September 27, 2006 at 03:13 PM
はじめまして。
楽しく読ませていただいております。
僕も FLEKTOGON 入手しました。
ラバーフードは、ちょっと格好悪いですよね。
僕もせっかくのコンパクトな単焦点がでかくなるのは嫌なので、こんな風にしています。
http://weblog.seki.net/
Nikkor レンズでもこの手のことをやってました。kakaku.com のクチコミに書いたら、結構みんなされるようになってきているみたいです。
少なくとも、APS-C サイズのデジタルなら問題なくケラレずに使えます。
フィルタ径 49mm なら Pentax DA40F2.8 用を、52mm なら Nikkor 45mm 1:2.8P が使えます。
いかがでしょう?
Posted by: hirobot | November 08, 2006 at 07:31 PM
> hirobotさん
ブログ、拝見しました。ナイスアイディア!
ドーム型フードはまったくノーマークでした。
早速購入ボタンをクリックしてきます!
Posted by: metalmickey | November 09, 2006 at 02:43 AM
> ドーム型フードはまったくノーマークでした。
よかった。
多少はお役に立てたようですね!
しかし、Flektogon、すごい描写ですよね・・・
「今では使えない鉛レンズ使っているからだ」とか聞きますが、そうなんですか?
Posted by: hirobot | November 09, 2006 at 09:23 AM
> hirobotさん
レンズの素性についてぼく自身はあまり詳しくないのですが、Xylocopal's Photologにいろいろなレンズの放射線測定結果が載っていました。
http://xylocopal2.exblog.jp/4803677/
また、以下にゼブラタイプのFLEKTOGONについて詳しい解説が載っています。
http://xylocopal2.exblog.jp/3980660/
「鉛レンズか?」という疑問に直接お応えできる情報ではないかもしれませんが、よろしければチェックしてみてください。ぼくはRSSリーダに登録していつも楽しんでいるブログのひとつです。
Posted by: metalmickey | November 09, 2006 at 10:54 AM
チェックしてきました!!
すげぇ、楽しかったです。
面白いサイトご紹介いただき、ありがとうございます。
「アトム」は「鉛」なんかよりずっとビビる内容でした(笑)
恥ずかしながら Jena の意味もやっと分かりました。
Posted by: hirobot | November 10, 2006 at 08:39 PM
> hirobotさん
楽しんでいただけたようで何よりです。
って他人様のコンテンツでなんですが(笑)。
カメラ・写真関係のブログは、本当に内容の濃い
ものが多くて参考になることしきりです。
Posted by: metalmickey | November 10, 2006 at 11:37 PM
Flektogon 35mm 2.4 オークションで落札しました。
代金も振り込み、あとは、到着待ちです。このレンズでの撮影が楽しみです。
Posted by: みつる | March 15, 2007 at 10:33 PM
到着楽しみですねえ(^^)
最近わたしはEXA 1bというフィルムカメラに
Flektogon 35/2.4をつけて遊んでいます。
EOS 20Dだとファインダーが小さくて
難儀していたのですが、いやあ銀塩カメラは見やすい(笑)。
Flektogonがいかにピントの山をつかみやすい
レンズか再認識しました。
Posted by: metalmickey | March 15, 2007 at 10:45 PM
フレクトゴン2.4到着しました。
ヘリコイドがやや硬いですね。ヘリコイドを回すときに、マウントのねじ込みが緩んでしまいます(苦笑)
ヘリコイドがやや硬いですね。ヘリコイドを回すときに、マウントのねじ込みが緩んでしまいます(苦笑)
マウントアダプタKを介して、PENTAX K100Dと、PENTAX MXにとりつけてみました。K100Dで試写した画像ををURLで紹介します。
ラバーフードは、ネジ径49mmのものがあったので、metalmickeyさんと同じように取り付けてみました。
マクロレンズのようにかなり寄れますね。
スナップ写真の楽しさがひとつ増えました。
Posted by: みつる | March 17, 2007 at 09:55 PM
わたしのFlektogon35/2.4はまずまずのコンディションでしたが、Sonnar135/3.5のヘリコイドは激重です。逆にTesser50/2.8はスカスカ……。まあクラシックレンズの当たりハズレはやむなしと半ば諦めてます(笑)。
そうそう、Flektogon35/2.4をフィルム一眼レフにつけて撮ったのですが、ドーム型フード(40mm用)をつけっぱなしだったので見事にケラレました。トイカメラ風、なんて開き直ってます(笑)。
Posted by: metalmickey | March 17, 2007 at 10:14 PM
すいません。
文章の編集が不適切でした。そして画像ファイルのURLが間違っていました。
改めてURLの方は正しいものを掲載します。
まあ、古いものらしいので、多少の汚れ、キズはしょうがないですね。
Posted by: みつる | March 18, 2007 at 12:35 AM
試写、拝見しました。
やはりFlektogon35/2.4は立体感がありますね。
ボケ足が自然で臆せず寄れるのもいい。
色ノリこってりという旨みもある。
ほんとスナップが愉しくなるレンズです。
Posted by: metalmickey | March 18, 2007 at 01:25 AM
Flektogon 35mm 2.4の描写のすばらしさを、堪能しています。
ヤフーフォトアルバムで、いくつか掲載しました。
階調描写がよいのでしょうね。写りが本当に立体的です。
これだけの描写をするレンズといえば、ペンタックスだとFA31とか、FA77とかいったリミテッドレンズぐらいだと思います。これらのレンズは、すごく値段が高いのです。
よいレンズを手に入れることができました。
Posted by: みつる | March 18, 2007 at 09:19 PM
フォトアルバム、拝見しました。
いい発色だなあ(^^)
シングルコートとFlektogon20mm/f4は
褪せた色合いなので、やはりMCサマサマと
いったところでしょうか。
ああ、仕事終わらして撮りにいきたい(苦笑)。
Posted by: metalmickey | March 18, 2007 at 09:53 PM
たびたびおじゃまします。
このレンズにアッチッチになってしまいました。
さすがドイツの名門カールツァイスです。旧東ドイツ製というのも、感慨深いです。このレンズは、「旧東ドイツ製なんだよ」みたいな事も話のタネにはなりますね。
K100Dの次はペンタックスMXに取り付けて、フジフィルムのベルビア100デイライトでテスト撮影中です。現像が出来たらどこかでフィルムスキャンしてもらってまたアップロードしようかなと思っています。人様にお見せできるのがあればですが・・・
アルバムにMXに取り付けたところを別なレンズ+K100Dで撮った写真をアップロードしました。だからどうしたといえばそれまでですが(笑)
デジタルカメラだと、色彩の彩度というのは、カメラ内部の画像処理、撮影後のレタッチによってかなり調整が効くのですが、この調整の利かない部分というのが、色彩も含めた諧調性能だと思います。
この部分リバーサルフィルムでは、デジカメ特有の画像処理が無いためレンズ素性がはっきりわかると思いますので、どうなるか楽しみです。
Posted by: みつる | March 19, 2007 at 10:28 PM
お気に入りのカメラやレンズって、
それで撮るよりも「それを」撮るのが
愉しかったりしますよね。
知り合いの写真家さんにそんな話をしたら、
邪道と一蹴されましたが(笑)。
撮っても愉しい、撮ってやっても楽しい。
一粒で二度おいしいです。
Posted by: metalmickey | March 19, 2007 at 10:41 PM