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August 23, 2006

SILKYPIX Developer Studio 3.0 Beta

市川ソフトラボラトリーのRAW現像ソフト「SILKYPIX Developer Studio 3.0 Beta」がやっと出た。これまでSAKURA、AJISAI、HIMAWARIと季節の花の名前をつけた2.0ベータ版が毎月リリースされていたが、ようやく3.0を冠したベータ版の登場だ。

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一見してわかるように、2.0ベータからデザインが大きく変わった。従来バージョンは青いタイトルバーにグレーのウィンドウというクラシカルなデザインだったが、3.0ベータはアドビ「Lightroom」を彷彿させるブラックベースだ。加えて各種パレットが吸着するようになり、コンビネーション表示と名付けたプレビューとサムネイルの同時表示も可能。総じて現代的なアプリケーションの顔つきになった。本ソフトは長らくベータテストを行っていたため既知の機能も多いが、そうしたものも含め、おもしろい機能をピックアップして紹介していきたい。

【JPEGなのにRAW現像!?】
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RAW現像ソフトは当然ながら、RAWデータをJPEGやTIFFに変換するためのソフトだ。しかし最新バージョンでは、JPEGをRAW現像ライクに編集する機能「SILKYPIX RAW Bridge」を搭載している。そもそもRAW現像の魅力とは、露出やホワイトバランス、シャープネスといったデジタル一眼レフの撮影項目を、撮影後にパソコンで変更できるところにある。JPEGデータでも輝度や色調をレタッチすることで似たようなことは可能だが、画像自体が劣化するし、高度な編集が要求されけっしてやさしいものではない。そうしたことを踏まえると、JPEGをRAWと同じように編集できる利点は見逃せないだろう。初期状態ではSILKYPIX RAW Bridgeは無効になっているので、「現像設定」を呼び出し「JPEG/TIFF現像モード」をチェックオンする(左画像参照)。これでJPEGデータがRAWと同じように編集可能だ。右の画像は露出をオート設定で補正し、その上でホワイトバランスをいたずらしてみたものだ。一般的なフォトレタッチソフトだと階調が破綻をきたすところだが、滑らかなグラデーションを保ったまま色調を変えることができた。なお、SILKYPIX RAW Bridgeは非破壊編集となっており、元データはオリジナルのままだ。このオリジナル画像をいじらないという姿勢は大いに評価したい。ただし、一点気になったことがある。JEPGの編集がRAWよりも重いのだ。内部的にJPEGデータを16ビット化しているためそのせいと思われるが、JPEGの方が軽いと思いがちなだけにちょっと肩すかしを食らった。

SILKYPIX RAW Bridgeについて追加記事をアップしました。サンプル写真も豊富に掲載しましたので、是非そちらも参照してみてください。

【自分色を登録できる新プリセット機能】
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SILKYPIXは従来からプリセットが充実したソフトだった。ホワイトバランス、カラー、調子(コントラスト)など、ほぼすべての項目にプリセットが登録済みで、これらを使うことで効率的な現像が行えた。こうしたプリセット機能をさらに推し進めたのが「SILKY Taste」である。これはメーカー推奨のカラーバランスをプリセット化したもので、初期状態で7種類が登録してある。上段の画像は「風景」を適用したもの。適用前後で画像をくらべると、緑の鮮やかさが一目瞭然だ。下段は「ノスタルジックトイカメラ」を適用したもので、彩度がグンと落ち、四隅に光量落ちが加わっている。

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左側の画像は「青空」を適用してみた。 青みが増して気持ちいい。右の画像は「レッドエンハンサー」を選んだもの。これは赤フィルターをつけて撮ったような効果がある。朝焼けらしい赤から紫にかけての色調がきれいだ。どのプリセットも効き目が強烈で、見た目の印象をガラリと変えたいときに重宝するはずだ。なお、このTasteはインポート/エクスポートが可能。ユーザー間でTasteファイルを共有してもおもしろいだろう。

【白飛びだって修復できる!】
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デジタル画像にとって白飛びは致命傷だ。白飛びした箇所は修復不能……。通常であれば露出を下げて白飛びを回避するように撮影する。しかし、一見すると白飛びしているように見えても、RAW現像ソフト上で露出を下げると像が残っていることも。そんなときに威力を発揮するのがハイライトコントローラ内にあるダイナミックレンジ拡張機能だ。この機能をわかりやすく説明すると、ハイライト部分だけをアンダーにして、飛んでいた像を見えるようにしてくれるというもの。まず左画像を見てほしい。画面右下が飛び気味だ。そこでダイナミックレンジのスライドバーをググイッと動かすと、見えなかった手すりや電線が復元されていく。さらに注目すべきは、ハイライト部分以外、明るさや色調が一切変化していない点だ。トーンカーブでここまで調整するのは難しい。デジタルフォトの短所を補う貴重な機能である。

【解像感を増すふたつの機能】
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デジタル一眼レフはほぼすべての機種が高画素モデルだ。よって解像力不足に悩まされることはない……と思いがちだが、実はそうではない。高画素化にともない、ごくわずかなブレまでも画像に記録されるようになった。特にピクセル等倍でプレビューするとかすかなブレやピントの甘さが気になるものだ。今回のバージョンアップにより、本ソフトはより強力な新型シャープ「ピュアディテール」を搭載。適用前後の画像をくらべると、いかに強力かがよくわかるだろう。手ブレはもちろんだが、無限大撮影時のピントの甘さを補正するといった用途にも最適だ。

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現像時にリサイズするとどうしても解像力が甘くなる。本バージョンでは現像と印刷時にアンシャープマスクが使えるようになった。しきい値、半径、適応量といった3つのパラメーターで効き具合を調整できる。ためしに2240×1585ドットの写真を800×566ドットにリサイズしながら現像してみた。中央の写真がアンシャープマスクなし、右の写真がアンシャープマスクありである。アフラック人形の毛並みに注目すると解像感のちがいが見て取れるはずだ。

【不満点は……ある!?】
Image22_4 今回試用したパソコンは、Pentium D 920(2.8GHz)、メモリ1GBという構成だ。実はこのパソコン、SILKYPIX2.0を快適に使いたいがためにメモリを512MBから1GBに増設している。2.0はまずまず快適に使えていたのだが、3.0ベータを起動すると増設前に逆戻りしたような重々しい動きになった。アドビ「Lightroom」も重かったが、それと負けず劣らず重い。RAW現像は動画エンコード並みにヘビータスク。そう認識しておいた方がよさそうだ。その他の細かい部分では、ウィンドウを最大化するとタスクバーが隠れてしまい、他の作業に移行する際[Alt]+[Tab]でアプリケーションを切り替えなくてはならない。これは正直面倒だ。また、補正前後の画像比較、いわゆるコンペアができない点も気になるところ。なお、今回テストした環境では、「Lightroom」で現像したJPEG画像が読み込めないというトラブルがあった。原因がわかり次第、追補したい。

●追補
8月30日、Ver0.0.8.0がリリースされ、プレビューからサムネイル表示に切り替える際、メモリを大量に消費する問題が解消されました。これにより通常操作がずいぶんと軽くなり、SILKYPIX 2.0と同程度の体感速度に戻っています。また、ウィンドウを最大表示した際にタスクバーが隠れてしまう問題も改善されています。

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Comments

はじめまして。
mixiの[SILKYPIXでRAW現像]コミュから来ました。ベータ版リリース翌日にここまで充実した記事を書かれるとは……。
自分のblogでも紹介を書こうかと思っていたんですが、これがあればいらないっすね(^^;

Posted by: ataru | August 23, 2006 at 08:07 PM

はじめまして。
駆け足でさわっただけなので、まだまだ試せていない機能が多くてお恥ずかしいかぎりです。他のユーザーさんのインプレッションも是非読みたいです。

閑話休題。

ブログ、拝見しました。カテゴリーの「M42」をまっ先にクリックしている自分が……(笑)。

Posted by: metalmickey | August 23, 2006 at 08:22 PM

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